2014年2月9日日曜日

『ゴシップガール』のチラ裏:ハナシのスジより美しいシーン

*思いついたことを箇条書きにするのも面倒くさいので、ファミレスで3時間語り倒すモード(=ひとり語り風)で、頭に浮かんだことをそのまま書いていくことにします。

エピソードの構成が『水戸黄門』と同じくらいの金太郎飴的構成……ってか黄金パターンに則ったテンプレート的な安い作りと、杜撰でご都合主義な構成&おハナシであることの利点は、何と言っても「深く考えずに見られること」にあると思うんだ。ぼんやりとTVを眺めているだけで、何となくハナシがわかる。セリフが構図、シーンの移り変わりに集中していなくても、ハナシの筋を簡単に追えるってことは、すなわちコレ、「極めてわかりやすいドラマ」ってこと。

この「極めてわかりやすいドラマ」ってのは、当然、製作者が意図したものでね。実際、製作が『Buffy the Vampire Slayer』とか『Smallville』みたいな中高生向けSFドラマを作ってきたワーナーを前身とするCWのドラマなので、対象視聴者層だって10~20代なんであって、彼らのおつむでも理解できるようなハナシにしようってことは、ドラマ製作の前提にあったはずなのよ。

でもね、そういう製作者サイドの事情は置いておくとして、こういう「極めてわかりやすいドラマ」を作った結果、想像以上の相乗効果が出てきたと思うのよ。その相乗効果ってのは、「限られた時間内に美しいシーンを数多く詰め込めること」と「それをつないだり締めたりする、クサいセリフをてんこ盛りにできる」ってこと。

つまり、GGではハナから「シーズン通しての巨大な陰謀を暴く」とか「各話、各シーズンごとに伏線を張り、見事に回収する」とか「キッチリと整合性がとれ、誰もがハナシの流れに感得できる巧みな脚本」みたいなことで、視聴者のカタルシスを昇華させようなんてことは思ってないのよ。こういうことは全部、他のドラマとか映画にまかせているわけ。

その代わりGGは、臆面もないベタなシチュエーションをベースに、どっかで見たことのあるようなシーンを、美男美女と豪華なセット&衣装で絢爛豪華に飾り付けたうえで美しく撮り、ハナシの整合性を無視して詰め込むと。そのつなぎと締めには敢えてクサいセリフを使って、視聴者に深く印象付ける――つまるところ、美しいシーン、印象的なシーンありきのドラマってことなのよ。

そのためにはハナシの整合性なんてどうでもいいし、ご都合主義を乱発してもかまわない。それよりも、例えば「パリ駅の寒色の外光と暖色の屋内照明、真っ赤なドレスのブレアとボロを着たチャックという対比を軸に、泣かせる曲をバックに流してクサいセリフを言い合せる」ような印象的なシーンを、目一杯見せられればいいってことですよ。

Gossip Girl 4x02 "Double Identity" Chuck/Blair Scene

「あんなドレスで駅を闊歩する女がどこにいるのか?」「お腹への銃撃で神経麻痺になるなんてありえない」なんて野暮なことを言ってもしょうがない。今どきの映画やドラマでは見られない、ベッタベタでマンガチックだけど、とにかく印象に残るシーンであればいいってこと。

美しいシーンとクサいセリフを作るためには、相応のシチュエーションを作る必要があり、シチュエーションを作るためには人間関係を弄る必要がある。で、人間関係をどう弄るのかといえば、メインキャラクターを頻繁にくっつけたり別れさせたりすると。

結果、メインキャストであるセリーナ、ブレア、ダン、チャック、ネイトは全員穴兄妹――男同士とセリーナ×チャックの組み合わせだけはない――になるんだけど、そういった複雑怪奇な人間関係の流れや構図も、何も考えずに見られる黄金パターンに乗っかったドラマだからこそ、ハナシのスジに気を取られずに把握できると。じっくりとドロドロした人間模様を楽しめるってこと。

だからね、シーズン3以降、ちょっと辻褄の合わない設定が出てきたり、ありえない展開がてんこ盛りになったり、複雑だけど杜撰で現実味に乏しい策略が乱発されてもだね、これをもって「何てヒドいドラマなんだ!」っていうのは、ちょっと筋違いじゃないかと思うのよ。いやもちろん、これらは全部瑕疵よ。瑕疵。批判だって正当なもので、決して不当じゃない。

でもさ、そういうところがウリじゃないのに、そこを批判するってのは、喩えるなら「二足歩行の巨大軍事用ロボなんて非現実的」みたいな批判と同じだと思うのよ。そりゃガンダムとかエヴァンゲリオンなんて、常識的に考えれば未来永劫作られないだろうさ。でもね、大多数の視聴者は、「でっこーでんでんでっこーでんでん♪ ってBGMに乗りながら街を蹂躙するザク」みたいな“非現実的だけど問答無用にカッコイイ画”を見たいわけじゃん。だったら、それを見せるために、現実的か否かとか、辻褄が合うか否かとかいう設定上の問題は棚において、もっと視聴者を驚かせる、楽しませる、うっとりさせる画を書くことの方が大正義じゃん――って思うわけよ。

……と、ここまでは前菜みたいなもので、本当に言いたいのはだねダン×ブレアのハナシなんだな。ドラマ上のカップルについて語るなんて、本当に本当にしょうもないことだよ。現実世界のカップルについて語ることでさえ、夫婦げんかについて語ること以上にくだらないことなのに、架空のカップルなんて、ねぇ。

そう。下らないこと、益体もないことだってわかっちゃいるのよ。それでもこのハナシについて何か言いたい、何か書きたいという衝動が抑えられないんだからしょうがない。というわけで次は、ダン×ブレアを語る前に、その前提となる情報を整理した「主要キャスト3人のオレ得メモ」をババッと明かすことにしますですよ。

ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

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