2013年6月24日月曜日

読書記録:新書2冊と歴史本3冊

●脱出――1940夏・パリ(ハンナ・ダイアモンド著。朝日新聞出版)

ドイツのフランス侵攻により、南仏へとちりぢりに疎開する一般市民を軸に、その間の政府の動き、ドイツの対応を淡々と描写。そこに当時の市民の貴重な証言を織り交ぜている。左翼政権の下、何も決められない内閣の無能により、疎開方針や疎開場所が泥縄式に決められた結果、幹線道路に難民が殺到。反撃を目指す軍はこれに進路を阻まれて思うような機動が出来ず、ドイツ軍に為す術もなく敗れる……。“電撃作戦”があそこまで上手くいった背景には、この無計画な疎開もあったということなのね。




●維新風雲回顧録(田中光顕著。河出文庫)

高杉晋作→伊藤博文の腰巾着をやっていた土佐出身の志士の回顧録。吉田東洋暗殺犯である叔父・那須信吾の思い出から8.18政変、武市党壊滅、第二次長州征伐、高野山義挙までを、ほとんど講談調に回顧。当時における一般的な志士の胸中――例えば攘夷or開国などは真面目に考えておらず、そのときそのときの思潮の流行に流されていたこと――が窺い知れて興味深かった。



●「中卒」でもわかる科学入門(小飼弾著。角川oneテーマ21)

副題の「“+-×÷”で科学のウソは見抜ける!」にある通りの内容。非常にわかりやすく、これまでに読んだ著者の本では最も面白かった。原発がビジネスとして不適格であるとの説にも全然同意。ただ、その代替案として太陽光発電を薦めるのはなぁ……。それこそ「当たり前のように大気圏外に太陽光パネルを置ける」ようにならないと、ビジネスとして成立しないんじゃないかなぁ。



●壬申の乱を読み解く(早川万年著。吉川弘文館)

『日本書紀』と『壬申記』『続日本記』をベースに、「史実」と「記述」を丁寧によりわけ、歴史的事実としてあったであろう戦乱の事実や功臣、政治体制など浮き彫りにしている。読み物としての面白みはあまりない。



●ふしぎなキリスト教(橋爪大三郎、大澤真幸著。講談社現代新書)

いろいろと評判の悪い本だが、「読んでみなければ真価はわからんだろう」と思い、ようやく図書館で普通に借りられるようになったところで読み始めたわけだけど……そこまで悪く言われるほどのものか? 確かに手前でもソラで指摘できるような誤りがあったことはあったけど、そういった瑕疵は瑕疵として、大筋では「聖書を読んだことすらない人=大多数の日本人」を対象にしたベストセラーとしては十分な内容なんじゃないかなぁ。肩のこらない読み物としてはよく出来ている。もちろん、ここで書かれた内容を真に受けて、「キリスト教とは~」と一席ぶったらバカにされること必至だろうけど。



ともあれ手前は、韓国は仏像を返還すべきであると思う。

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