2012年9月27日木曜日

新刊『北京は太平洋の覇権を握れるか』で“終戦後”に備えよう

これまでに兵頭二十八師の著作を数多く紹介してきました。「今作はココが面白い」「この本こそ未読者にオススメ」など、いろいろ書いてきました。もちろん全て事実であり、手前が思ったこと、感じたことをストレートに書いたのだ! と胸を張れる自信はあるのですが、それでも「この本の最大のセールスポイントはどこにあるのか?」を自分なりの視点で見つけ、書いていくことに「骨が折れるナァ」と、感じたことがあったことも事実です(逆にあまりにセールスポイントが多すぎて書き方に困った『新訳 戦争論』という大傑作もあったりします)。

翻って最新刊『北京は太平洋の覇権を握れるか――想定・絶東米中戦争』ですが、手前にとってこの本ほどセールスポイントのわかりやすい本はありません。

それは何か?

ズバリ――

米中戦争“終了後”のことが書いてある、日本で唯一の本

――ですよ!

何が面白いって、「米中戦争が起きる可能性はあるのか?」とか「米中戦争ではどのような戦略が採られるのか?」とか「米中戦争ではどのような兵器が活躍するのか?」とか「米中戦争では日本はどのように対処すべきか?」とかいうハナシは当然のこととして、米中戦争が終わった後に起きるであろう事態と、それに対処する方法まで、実にしっかりと書いているところですよ。

手前は根がミーハーなものなので、当然、流行モノとして「尖閣モノ」「米中戦争モノ」の書籍や記事については、広く浅くフォローしています。といってもほとんどの場合、立ち読みで済ませていたりするんですが……。ともあれ、上は大石英司氏の小説『尖閣喪失』から下は田母神俊雄(バカ)のお気楽シミュレーションまで、一通り目を通しているわけです。

で、それらの記事を読んだ経験から言うと、米中戦争“終了後”のことまで書いているモノは、唯の一つもありません。つまり、現時点で米中戦争“終了後”のことが書いてある、日本で唯一の本が、軍師の新刊なわけです。

該当部分をちょっとだけ紹介してみましょうか。

「米支戦争が始まると、日頃の臆病者ほど俄かに調子づき、むやみに米国という殿様の馬前を二本足で走り回る雑兵になりたがる軽輩も、日本国には簇生することであろう。しかし、シナ本土に上陸するような作戦には、わが自衛隊は加わってはならない。ベトナム戦争中の韓国軍が、どういうひどい評判をインドシナの現地で語り草にされているか、思い出すべきである。『戦後』にも、同様の自重が必要だ。自衛隊は決して『進駐軍』に加わってはならぬ」(251頁)

「(都築注~映画『風と共に去りぬ』を指して)そして原作にも映画にも言及はないが、北東部の国家指導層の中には、南部の黒人農奴に政治的平等を与えるのは早い、と考える者も少なくなかった。リンカーン後の歴代大統領も、そこには十分に気を遣った」
「こうした慎重さは、しかし、米軍がシナを占領した場合には、見られないであろう。占領者の中に<幻想>が強すぎるためだ。日本人は、米国人の踊りに付き合うことはない」(252頁)

もちろんこれだけではなく、日本が戦後にすべき「掃海」「軍事裁判」「敵性外国人の強制帰国」や、戦中に片付けておくべき課題(詳しくは新刊を読もう!)など、盛りだくさんで書ききっています。

軍師の既刊を全て読み、毎日更新されるblogに全て目を通しているような「よく訓練された兵頭ファン」にとっては既知のハナシが多いかも知れませんが、それでも↑のような価値があるんだから、読まない手はありません。もちろん、尖閣問題について面白い本を求めている人、新たな知見が欲しい人、刺激的な論考を読みたい人にとっては、必読モノであることは間違いありません。

*なお、明日から2回連続で、8月4日に放映されたチャンネル桜の番組「現代戦争論:日本で戦争は勃発するのか」のなかで、軍師が発言している部分をピックアップした私家版メモを公開します。新刊のダイジェスト的な内容になっているので、「新刊にはどんなことが書かれているのか?」が気になった人は、参考にしてください。

追記:自民党総裁選について。安倍晋三が勝ったとか。候補者の中でダントツに筋の悪い(石原のバカ息子は除外。コイツの場合は候補者の列に並んでいたこと自体がおかしい。サッサと死ねばいいのに)のが“次期首相”に復辟するのかぁ……。ポンポン痛くて退任という失態を大目に見ても、「郵政民営化反対組の復党」を決心した一事をもって万死に値するからね。小泉純一郎が成し遂げた“旧田中派潰し”という大偉業の意義を何一つわかってない奴が、物事の軽重を理解できるわけがない。朝日新聞や兵頭師とは全く別の観点から、「コイツはダメ!」と断言しますよ。

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