2012年7月25日水曜日

<野球本メモ>「個性をモノにする」、岡島秀樹

●目次
・第1章:「個性」をモノにする
・第2章:「個性」の強いメジャーリーグ
・第3章:「個性」への適応
・第4章:「個性」を支えたメンタリティ

――以下、日本プロ野球(NPB)とメジャーリーグ(MLB)との違いについて言及している部分を中心に、読書メモ風に抜粋。

・MLBで初めて迎えた打者は、ロイヤルズのジョン・バック。7番打者である彼にいきなりホームランを打たれたことで、MLBのパワーを実感した。打たれたのはアウトローのストレート。NPBであれば「困ったときは外角低め」というセオリー通りの配球。打者から最も遠く簡単に長打は打たれない。これを簡単に弾き返され、あまつさえスタンドに持っていかれたことのショックで、その後の投球内容は今でも覚えていない。

・初対戦からMLBのパワーを実感したが、それから5年過ごしてわかったことは、MLBとNPBとのパワーの違いが、実は「守備」にあるということ。MLBとNPBの違いで、真っ先に頭に思い浮かぶのは内野手の守備力の違いだ。なんといっても、MLBの内野手はみんな守備が上手い。

・一番の違いはスローイング。内野手の場合、単純に「肩が強い」というよりも「上半身が強い」。誰もがスナップスローで強い球が投げられる。つまり、崩れた体勢からでも送球できるため、必然的に守備範囲が広くなり、逆シングルのグラブ捌きも躊躇なくできる。MLBの選手は、「上半身が強い」という特性を活かしきったプレーをしていると感じた。

・外野手に関していえば、MLBの選手の方が肩の強さは上だろう。ただし、NPBの選手は送球のコントロールが良いので、守備力についていえばMLB、NPBに大きな違いは感じられなかった。もっとも、所属していたレッドソックスの外野手が“弱肩”揃いだったからかも知れないが……。

・自分が考えるMLB最高の打者はデレク・ジーター。打者としての総合力は、アレックス・ロドリゲスやアルバート・プホルスよりも優れていると感じた。彼の最大の長所は「粘り強さ」。ミートポイントが後ろ(捕手より)なので、実に空振りがとりにくい。ボール球もよく見極められる。

・こうした引きつけて打つタイプの打者は、概してインハイのストレートで詰まらせて打ち取れるものだ。しかし、ジーターには完璧に決まったクロスファイヤーを、何度も右中間にライナーではじき返された。

・いいタイミングで球を捉えれば、NPBにも打球を飛ばせる選手はいる。しかし、それが力の伝わりづらい反対側への打球となるとどうだろうか? 「引きつけ打法」の欠点である「打球が詰まる」ことを克服した、MLBの「引きつけ打法」は最強ではないか?

・MLBの投手について。一流選手と日本に来る助っ人との一番の違いはコントロールにある。投手のコントロールとスピードは反比例するものと考えていたが、この常識はMLBの一流投手を見て覆された。球威がありコントロールの良い投手が何人もいる。言い換えれば、その二つの要素を兼ね備えた投手だけが、MLBで活躍できるということ。

・MLBボールのファーストインプレッションは「少し大きいな。縫い目も高いかな」。握った感触はまるで別物だった。フォーシームはいつも通り投げられたが、カーブはすっぽ抜けしかいかなかった。

・プロ生活で最大の武器だったカーブが使えなくなった結果、出した結論は「カーブ投手からの脱却」。桑田真澄に相談し、2人で出した結論は「チェンジアップをマスターする」こと。必死に覚えた結果、キャンプイン直前の2月までには新たな武器になった。なお、日本に復帰した現在は、カーブを使っている。

・NPB復帰後に苦労しているのは「打者のミートポイントの違い」。NPBに所属する多くのバッターは、MLBのバッターに比べてミートポイントが前(投手寄り)。オープン戦でMLBのときのような投球をした結果、思うように空振りを奪えなかったが、この理由は変化球の曲がり端を捉えられたからだろう。MLBのときにように、バッターの手元で鋭く変化する球は、あまり有効ではないように感じた。

・一般にバッターの手前で早めに変化する球は、ダメな変化球の典型と言われている。実際、MLBでは簡単に見極められた。しかし、6年ぶりにNPBに復帰してみると、この“常識”を180度変えざるを得なかった。今更になって助っ人外国人の苦労を思い知ることになった。

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