2012年7月16日月曜日

『尖閣喪失』、ネタバレ雑感:その1

以下、ネタバレありです。一応警告しときますよ。







え~この本の結末を言うとですね、日本は尖閣諸島を失います(言ってやった言ってやった)。

……といっても、このオチ自体はタイトルや大石氏のblogで散々明かされてますからね。果たしてネタバレという言葉が適当なのかどうなのか……。

さて、ここからが本格的なネタバレです。以下、『尖閣喪失』を読んでない人は、なるべく見ないでください。









まず、大雑把なプロットを紹介しましょう。大石氏は尖閣諸島を巡る将来について、以下のようなシミュレーションをしています。

・中国が魚釣島に上陸する

・日本が追い出すべく攻撃準備する

・アメリカから「攻撃はやめとけ」の連絡が入る

・日本は撤退。内閣は退陣。中国は魚釣島を実効支配。

最悪事態を考えることで読者の意識を喚起させよう! という意図もあるのでしょうが、それ以上に大石氏の持論(2012.6.25:本当の尖閣喪失)を素直に書いたというのが本当のところなんでしょう。

小説家としての技量が高いので、読んでいるうちは「そうだそうだ!」と説得されまくりな感じだったのですが、一読して頭を冷やした後に思ったのは、「尖閣諸島を巡る日中間の問題の核心部分について、自分なりに改めてクリアカットできて良かったなぁ」ということ。こう思えただけでも、値段分くらいの価値はあったかもと思っているところです。

ネット上の尖閣諸島を巡るニュースを読んでいると、様々な立場の人が様々な意見と様々な解決方法を述べています。それぞれもっともらしいハナシですが、問題を思いっきり単純化&突き詰めてしまえば、根本的に解決する方法は一つしかないと思うんですよ。

つまるところ「尖閣諸島に日本人を置く」ことです。

誰が行くのか? 自衛隊員か警察官かその他か? みたいなハナシは枝葉のことであって、要はそこに日本人を置けるか否かということ。

そこに日本人がいれば、中国は尖閣諸島を獲ることはできません。小説にあったような感じで仮に奇襲的に上陸したとしても、「日本人のいる領土を獲った」という既成事実が残ります。こうなってしまうと否応なく日米安保条約が発動しますし、結果、中国は事実上、「世界vsオレ」という構図での戦争を強いられることになります(ここまでは兵頭二十八師の受け売りです)。

ということが明らか過ぎるほど明らかなので、中国としては何としても「尖閣諸島に日本人を置く」という事態を惹起させないため、ありとあらゆる手を尽くしてくることでしょう。もし、日本が尖閣諸島に人を置いたとなれば、戦略資源の禁輸、在中法人の資産凍結から、観光客、ビジネスマンの無差別逮捕――容疑は軍事施設への不法侵入や麻薬の不法所持etc。共産圏であれば、理屈と容疑はどこにでもつく――も厭わない。また、小説で描かれていたように、アメリカに対して、「国債売るぞゴルァ!」と、経済を人質にみっちり脅すことも忘れないはずです。

で、こうした実力行使を伴う脅迫に対して、日本は折れてしまうのか? 折れずに意志を貫けるのか? が問題解決の核心ってことなんでしょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿