2011年1月27日木曜日

「義務投票制」に異議あり!(成歩堂君っぽく読んでね)

「義務投票制」なしでは日本社会は亡ぶ。棄権者には罰金を適用しよう!

兵頭二十八師曰く、すぐにでも「義務投票制」(wiki)を導入せよとのことですが、この主張にはちょっと意義があります。少なくとも同トピックで語られている内容のみで判断する限りにおいては、賛同し難いですね。

最も疑問に思う点は「罰金」の取り扱いです。前回総選挙時の有権者数は1億394万9442人、投票者数は7201万9655人、棄権者は3192万9787人となっています。仮に罰金1万円とした場合、棄権者全員が支払うとしても、税収としては3193億円にしかなりません。税源としては1兆円以下で“はした金”といえるでしょう。罰金が10万円であれば3兆円となかなかの税収となりますが、ハッキリいって「10万円の罰金」というのは全有権者一律に網を掛ける課徴金としてはあり得ないくらい高額でしょう。

しかも以上のことは、義務投票制でも何でもない現行制度の棄権者数をベースに仮定したものです。もし、100円でも罰金が掛かるような義務投票制になれば投票率が急増(=棄権者数が激減)することは間違いありません。現在、義務投票制を導入している国で先進国に最も近いであろうオーストラリアの投票率は95%程度といわれています。この数字をベースに、2010年9月2日時点における日本の有権者数(1億438万514人)を当てはめると、約522万人が棄権する計算になります。罰金1万円なら5億2200万円、10万円なら52億2000万円にしかなりません。どっかの大富豪の所得税か、健全経営している大企業の法人税くらいの金額にしかならず、国家税収としてみた場合は“端数”レベルでしかないといえます。おまけに徴収にあたっては1億人以上にもれなく網を掛けなければならず、その徴収コストが膨大なものになるであろうことは容易に想像がつきます。実際、厳格に適用しているのは中小規模の国家しかありません。

このように、「義務投票制の罰金」が税収に寄与するというハナシについては、「ちょっとあり得ないんじゃない?」と思いますね。

ただ、ここまでのハナシは「放送形式の短い文章から罰金と税収について」だけおかしい! と断じただけのこと。軍師の言うとおり――

・組織票を恃みとする候補者は選挙戦が苦しくなる(=宗教団体や労組が応援する政党が苦戦する)

・結果、近隣諸国の間接侵略勢力の国会浸透を防げる(=冷戦時代にKGBが労組に浸透していたように、現在は中共や北鮮、韓国が労組に浸透しているが、こうした間接侵略を防ぐことができる)

――というメリットはあるのかも知れません。ただし、このメリットについてもそこまで過大評価はできないのではないか? とも思っています。もし、こうしたメリットが額面通りに機能するのであれば、なぜ、オーストラリアはやすやすと中共の間接侵略に屈してしまったのか? 手前としては、ここのところがキッチリと保障されないと、「単に有権者の自由を制限するだけで、何のための新制度導入だったのか!」って怒り狂うしかないですからね。

と、いろいろと文句をブーたれてはいますが、手前としても若者の投票参加の必要性については痛切に感じているところです。これを促す一手として義務投票制(罰金有)という選択肢も「アリっちゃぁアリ」とは思っています。ただし、現時点ではこれを最善手とは思えない――というのが正直なところです。

1 件のコメント:

  1. 唐突なコメントとなり申し訳ございません。
    関西の学生の者です。
    質問させて頂きますので、お時間が有る際に返信して下されば幸いです。

    義務投票制度における罰則設置のメリットとして列挙なさっている
    「近隣諸国の間接侵略勢力の浸透防止」の事例において、
    冷戦期のKGBと労組の関係・現代における中国、韓国と労組の関係を引き合いに出されてますよね。

    それぞれの関係性が具体的にどのようになっていた(なっている)のかを具体的にご教授して下さいませんか?

    よろしくお願いいたします。

    返信削除