2010年6月30日水曜日

選挙期間中の演説会は面白い

先日、某政党の某候補を応援する演説会に行ってきました。仕事柄、政治家主催のパーティとか内輪の勉強会には何度か足を運んだことはあるのですが、こういう演説会に行くのは初めて。もちろん、仕事ではなく自分の意思で行くのも初めて。といっても、政治信条とか信念に突き動かされてというハナシではなくて、単にヒマだったことと、応援弁士に興味があったこと、そして何より近場でやっていたので行ってみたわけです。まぁ、ひやかしというか社会勉強ってやつですよ。本当なら政党、候補者を明らかにして書きたいところなのですが、公職選挙法に触れる触れないのハナシがやっかい――いちいち法律を調べて、総務省に問い合わせるのが面倒くさいもの――なので、全部「某」で統一することにします。

というわけで、以下、演説会のレポートです。

・開演7~8分前に会場到着。入場には黄色い紙に鉛筆で「名前」「住所」「電話番号」を書き、これを受付に渡す必要があるとのこと。不安であれば仮名、架空の住所、番号でも全く構わないだろう。チェック体制はないに等しい。手前は、屋号ではなく「実名」「実住所」「実電話番号」で男らしく入場。パンフ? 電話? いつでも来いや!

・会場は某ホール。1F、2Fの客席は合わせて2000人くらい入るキャパシティか。10分前に入場した時点で会場の8割方は埋まっており、会場のブザーがなるころにはほとんど全ての席が埋まっていた。客層は高齢者6割、若夫婦2割、独り者男女1割といったところか。動員された人は会場の前方に集められていた(席に●●地区、◆◆地区などの紙が貼られていた)。その数は全体の5%くらいだろうか。来る前は「半分くらいは動員された人じゃないかなぁ」と思っていけど、想像以上に少なかった。残り5%は議員、関係者。

・司会は前代議士。比例区候補、選挙区候補の簡単な紹介の後、県連会長の代議士が挨拶。前回総選挙の総括、今次選挙の現状、両候補の紹介が中心。立て板に水の口上だが“おしごと感”がにじみ出た挨拶。もうちょっと熱心に話せよ。

・比例区候補の演説。内容は政治家を志した理由、妻との馴れ初め、地方議会での活躍、これから目指す政策など。政治家の口上なので滑舌も声の通りも素晴らしいが、喋る調子が平坦なため5分も経つと飽きが来る。客の熱量も微妙に下がり気味。演説の終盤に少し絶叫調にしてメリハリをつけたが、冗長感は否めない。演説は10分程度だったが、終わってみると15~20分くらい経ったような気がした。

・続いて選挙区候補の演説。スタンドからマイクを手にとって、いきなり哀願調の言葉でスタート。身振り手振りが少なく声のトーンも高めで、決して聞きやすい演説ではない。ただ、哀願調が演説自体に良いメリハリをつけていることや、前に登壇した候補の演説との相対的な比較から、思いのほか話に没入できる演説だった。しかし、スタートから3~4分経ってからの候補者自身が華麗な履歴を紹介する下りで、「口調は哀願調なものの、言って得ることは明け透けな自慢」というミスマッチが発生。会場のテンションも一気に下がる。なんというか(ノ∀`) アチャーという感じ。

・ここで来賓議員の紹介。某政党の代議士、県議、市議が勢ぞろい。市議は大声で両手を振り、往年のこん平のようにアピールする。

・ここまででスタートから30分。いよいよメインイベント、応援弁士の大物が登壇する。会場大きな拍手。その後は写メ撮りまくりタイム。

・さすがに演説は上手い。どれだけ上手いかといえば、「島田洋七の営業」に勝るとも劣らないくらい。内容は、選挙区候補者の紹介&持ち上げ、現在の政局への認識、政策に関する感想など。恐らく演説内容は「応援弁士の持ちネタ」に沿った内容だったのだろうけど、客が高齢者メインと見るや途中から高齢者向けのネタを連発。会場を大いに沸かせる。この辺の空気の読み方、客の沸かせ方は「お前、綾小路きみまろだろ!」ってくらいに上手かった。

・話の途中で笑い&拍手連発。最後は文字通り万雷の拍手で終了。独演会は40分に及んだものの、それだけの時間を全く感じさせなかった。やっぱり政治家は言葉を操ってナンボの仕事なのだなぁ、ということを実感。

・最後は、現役参院議員の音頭でガンバロー! コールを三唱。その後、散会。

街頭演説もいいけど、政治家の本気を間近で味わうなら演説会がベストであるということを感得しました。いや、タダでこれだけ面白いものを見せてもらえば満足ですよ。下手なバンドやお笑い芸人、劇団のライブよりも遥かに面白かった。1000円くらいなら出してもいいかと思ったもの。こういうのも何ですが、ヒマがあってタダで面白いモノを見たいと思ったら、手近な政党の演説会に行くといいですよ。

正直、政党、候補なんてどこでもいいと思います。どこの政党、候補でも応援弁士に来る政治家は喋りが上手いだろうから、これを聞くだけでも面白いと思います。弁士は「生涯10冊の本を読むか読まないか」ってレベルの聴衆に合わせて話すわけだから、その内容がわかりやすくて面白いことは間違いないわけです。そういうしゃべくり芸――しかも選挙運動中の応援演説は、候補者と政党の生殺与奪を握る重要な仕事なので、文字通り“本気の仕事”をする――を、炎天下ではなく涼しいホールでタダで聞けるわけですから。来月11日までに、どこでどんな演説会があるかはわかりませんが、機会があれば覗いてみることをオススメします。

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